2009年11月09日 12:57
この時をずっと待っていた―。水戸市で行われたサッカーのJリーグ2部(J2)ベガルタ仙台―水戸戦で、仙台は4―0で快勝。昇格を争ってきた甲府、湘南が引き分け以下に終わり、来季の1部(J1)復帰を決めた。泣き崩れる選手。喜びを全身で表すサポーター。思いはずっと一つだった。みんな一緒に、J1の扉を再びこじ開けた。
勝利の歓声もつかの間、スタジアムは異様な静寂に包まれた。甲府、湘南はまだ試合を終えていない。誰もが携帯電話の速報に見入る。引き金はバックスタンドから上がった歓声。「決まったぞー」。歓喜の輪がウエーブのように広がった。
「まだ夢を見ているみたい」。両手を顔に当てて泣き崩れたのはDF菅井直樹選手。昨季はJ1磐田との入れ替え戦に臨みながら一歩及ばず昇格を逃し、「あの悔しい思いがあったからより強くまとまったチームに成長できた」。
MF関口訓充選手は丹治祥庸強化部長と抱き合って涙を流した。「自分たち生え抜きの選手が増えてきた中で、J1に戻ることができる。こんなにうれしいことはない」
悔しい思いをし続けてきたのは、サポーターも同じ。この日、敵地に4000人以上が詰めかけた。
仙台市泉区の会社員、紺野祐一さん(41)は2001年の昇格シーンも見ている。「昨年の入れ替え戦で悔しい思いをしたので本当にうれしい」と感慨深そうだ。
「待ちに待って、待ちすぎた瞬間。うれしくて、涙を流す選手につられて涙があふれた」というのは宮城県出身で現在は千葉市に住む主婦の佐竹裕紀さん(32)。チームカラーのタオルで目頭を押さえていた。
<熱い後押しが力/ベガルタ仙台・白幡洋一社長の話>
感極まって何も言うことがない。昨年、入れ替え戦で敗れて昇格をあと一歩で逃した悔しい経験が生きている。選手の頑張りと手倉森監督の采配(さいはい)、そしてサポーターの熱い後押しのおかげで勝ち得ることができた。
<上位へ活躍期待/鬼武健二Jリーグチェアマンの話>
6シーズンの間、仙台サポーターが待ち望んだ瞬間が訪れた。スピード感あふれるサッカーは観客を魅了し、警告、退場の少ないクリーンなプレーは称賛に値する。J1でも上位を狙う活躍を期待する。
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