2009年05月27日 23:59
仙台市の市制施行120周年を市民レベルで祝おうと、地元の出版社でつくる任意団体「せんだい120アニバーサリー委員会」が、約100年前の地図を復刻した冊子「仙台地図さんぽ」を発刊した。見開きで現在の地図と見比べられる仕掛けになっており「失われたものや今も残る風景を、歩きながら探してほしい」と話している。
冊子はA4ワイド判で104ページ。1912年に発行された「仙台市全図」を復刻した。市内を30ブロックに分割し、ページの左側に仙台市全図、右側に現在の地図を配した。
当時は評定河原(青葉区)に牧場があったことや、現在は住宅街の堤町(同区)付近に競馬場があったことが確認できる。戦災を免れた若林区では藩制期の街並みが残り、町名もほとんど変わっていないことが分かる。
既に建物がない行政機関や施設は各ページに解説と写真を添付した。資料編には、江戸期や終戦直後の地図も付けている。
アニバーサリー委員会は「風の時編集部」(宮城野区)と「プレスアート」(若林区)が1月に結成した。
出版費用を工面するため、名前の記載を条件に一口500円で協賛金を募ったところ、市民から472口、23万6000円が集まった。これを原資にして資料編のカラー部分など8ページを増やすことができた。
委員会では、協賛してくれた市民と一緒に市内を散策する「街中おさんぽ」を検討中。榴岡小(宮城野区)など市内の学校では、地域史を学ぶ授業の一環で地図を活用することも計画している。
風の時編集部の佐藤正実代表(45)は「保存するだけの記念誌ではなく、手に取って活用できる本を作りたかった。冊子を持って散策し、新たな発見を楽しんでもらえればうれしい」と話している。
作製は5000部。価格は2300円(税込み)。宮城県内の主要書店で販売している。連絡先は風の時編集部022(295)9568。